【能登】辻口博啓美術館と七尾の巨大山車
雑記帖
2日目。
すぐ左に日本海、抜群のロケーションの能登有料道路を通り、能登へ。
( >能登・金沢旅行 最初の記事 )
まず目指したのは、辻口博啓美術館 ル ミュゼ ドゥ アッシュ。
パティシエ辻口博啓さんが生まれ故郷につくった、スウィーツの美術館です。

がっつり系の私はショージキ、品の良いスウィーツにはあんまり縁がありません。
でも辻口さんのことは、【レシピを公開しちゃうパティシエ】として、とても気になってた。
次々と新しい発想のスウィーツを生み出すアイデアマンは、自分の持ち手を真似されるリスクをとることで、次のアイデア創出への加速をつける。
その湧き出るアイデアの源泉は何か。
プチプチや刷毛など、他の分野の道具を使うことが、まず一つ。
そしてもう一つが、自分のルーツ(能登)を大事にすること、だそう。
(今はなき良番組『アイデアの鍵貸します』より...)

ル ミュゼ(M) ドゥ アッシュ(H)のロゴの表すところは、能登半島に見立てたM、その中心に、逆三角形▼の能登島。

美術館に入るとまず、正面の壁一面に透明なキラキラが伸びていて圧倒されます。それはLEDの光で七変化する、いろんな色の砂糖("シュークルダール"。砂糖を溶かして加工する芸術作品)。帰省するたびに潜る、能登の海を表現したものだそう。透き通った水に強い光が注ぐと、きっとこんなキラキラ小宇宙だ。
左右に並ぶ摩訶不思議な作品たちも、能登の自然から生まれた造形で、例えば「サザエの内部空間を表現」とあります、サザエを知らない人が見たら、ものすごい幻想を抱くことでしょう。
もちろんカフェで楽しめるスウィーツにも、「のとミルク」「輪島のカッチキ米」など、地元の素材を使ってありました。
地元地元と言える人は、自分のルーツをさかのぼる余裕のある人だと、何となく思っていたけれど。
自分探しなんて言って世界に出る前に、地元に立ち返ってごらんなさいよと。
ブリュレに打ち震えながら、自分の故郷、山と川に囲まれた岐阜の自然を思い出しました。
スウィーツの後、七尾の漁港で今度はお魚を見てからてけてけ歩いていると、突如、こんなものが!!

小さな写真で伝わるかしら...
巨大も巨大な、山車(だし)です。
翌日から「青柏祭」という能登きっての大きなお祭りがあるそうで、その主役さん。クレーン車で装飾を載っけてます。
ほっっっんとにぶったまげた。
「車輪ついてるけど、、動くのかな」「...のかな!?」なんて話しつつ、一本杉通りへ。
そこは、歩くごとに、お香や昆布や佃煮やお醤油や・・・、ああ私は日本人だ、とうっとりする香りが漂う、七尾の目抜き通りです。
(「花嫁のれん展」という興味深い催しの真っ最中。こちらは、また別の機会にご紹介。)
が、あの山車は、いったい、何だ?と気もそぞろにいると、昆布の手削りを見せてくれた <しら井>の職人さんが、教えてくれました。
全部で3台、「でか山」と呼ばれるあの山車の重量は20トン、車輪1つが2トン。昔はひかれてペシャンコなんて悲劇もあったし、一度東京へ持って行った時には、柔いアスファルトがへこんで動かせなかったそうな。綱をつけてみんなで引くんだけど、勢いづいて暴走しないよう、必ず綱引きの要領で、逆方向に引き戻す人たちがいるそう。
「公民館のを出して、試しびきするはず」と聞いて通りに出てみると、
いた!!

異様ですよ。
想像に難くないと思いますが、こんな超重量級だから、動き始めが最難関。
「エーンヤァ!」・ドン・ドン・「エーンヤァ!」とかけ声しながら、車輪に斜めに差したテコ棒を、男衆が汗ダラダラで、上下させてます。
車輪軸の部分をでっかい木槌でコーンコンと打つ人や、山車の下に潜り込んでる人(こわくて見ていられなかった。危なくないんだろうか...)、ちょっとずつちょっとずつ車輪と大きな山が動き、道に対してまっすぐになっていく・・・
というのをドキンドキンしながら見ていて、ふと反対側へ回って、腰抜かした。
▲クリックしてください。引っ張ってます。子どもたち、わんさか乗ってます。子どもたち!
遊園地の、大きな海賊船がスイングするアトラクションのように、「いえ〜い」といっぱい乗ってるじゃないですか。
まあ総重量20トンだもん、彼らの体重なんて誤差の範囲かもしれないけれど、傍目にもグラグラおぼつかない、でか山。
倒れたりしないの〜っっ!?と、部外者はハラハラです。電線にだって引っかかりそうだし、もう、公民館も潰しちゃいそうだけど・・・、「登録有形文化財」だらけの一本杉通りでやっちゃうからには、絶対横倒しになんかならない保証があるのだと信じて、見守りました。何だか『20世紀少年』を彷彿とさせる光景だったなーー。
そして綱引きする側にも子どもたちはいっぱいいて、和気、あいあい。
こんなので20トンを引っ張ってるの?と半信半疑にお手伝いしてみました。
エーンヤァ!の最初は、グ ググ・・・とけっこう絶望的な重さだけど、いざ動き出したらまあ、スルスルスル...と、殆ど抵抗を感じることなく、進む進む。
「エエエエ↑〜エエエ↑エエエエ↓エ↓〜エエたァァの↑ヲヲヲ〜」と喉振るわせて音頭をとる五人衆、山車に乗っかって鈴振って、彼らは地元っ子らのヒーローなのかなあ。
自転車で通りかかった子も自然に綱引いてかけ声してて、みんな元気でツヤツヤで、通りにはやっぱりいい匂いが漂ってて、もうどうしようもなく、いい町でした。きっとベストなタイミングで訪れたのでしょう。先の美術館にいた時は知らなかったけれど、辻口さんの作品で表現されてた"地元のお祭り"って、これのことでしょう。辻口さんじゃなくても、こりゃあ、人生に刻まれる体験だよ〜なんて、ちょっと、思っちゃいました。
> 青柏祭について、詳しくはこちらを。青柏祭でか山保存会


◆ コメント: